明日東京に帰るので、今夜の宿は空港アクセス重視で倉敷にしました。ほぼ鳥取県だった岡山県の辺境・湯原温泉から南下、寄り道しつつ倉敷まで車を走らせます。
そして今日のプランは岡山県の有名な鍾乳洞めぐり。
満奇洞
満奇洞=「まきどう」といいます。岡山県指定天然記念物であり、隠れた映えスポット。
1週間前にスタートしたばかりの大規模な国際芸術祭森の芸術祭 晴れの国・岡山の会場になっていたのを知ったのは岡山入りしてからでした。
森の芸術祭 晴れの国・岡山
岡山県北部を舞台にした国際芸術祭です。12市町村の豊かな自然や歴史的建造物を背景に、現代アート作品が展示され、自然と芸術が融合した芸術祭。開催は2024年9月28日〜11月24日まで
「森の芸術祭 晴れの国・岡山」に関しては、特に推しアーティストは参加していなかったので開催されてるのは知ってても情報などはスルー状態でした。まさかお目当ての観光地がアート会場になっているとは!の逆ビックリ。
ただ鑑賞エリアもいつも通りで規制もナシ、入場料(アート込み)も普段通り変わらない価格。なんといってもキャンセルしても他の場所に行く選択肢が皆無だったので予定通りに向かいます。
蜷川実花 with EiM
会場に到着したら、駐車場(無料)は大混雑。
満奇洞を担当する芸術祭参加アーティストは、蜷川実花 with EiM。
普段アートに無縁な方々にも知られている芸術祭一番のネームバリューで、さすがの賑わいでした。
入場料は、通常時と変わらず大人/1000円。人は多いけど、並ぶことも待つこともなく入場できました。
この入り口、映画「八つ墓村(平成8年版)」でも登場していたけど、すっかり舗装されキレイになってしまってました。
ルートは平坦で30分あれば一周できる全長約450m。
内部は地底湖もあり鍾乳洞と澄んだ水が美しく神秘的でした。今まで見た鍾乳洞でも1、2を争う美しさ。
通常でもLED照明で照らされているけど、今回は満奇洞内部全てがアート作品、ブルーから始まりレッドの光で統一され雰囲気が厳かです。
異空間に迷い込んだようなワクワクさと先が見通せない怖さなんかを感じつつ進みます。
おそらく蜷川実花のある種のPOPさをイメージしてやってきたであろうファミリーが客層として多く小さいお子さんもたくさん。(ちなみに通常は小学生以下が入場無料だけど、展覧会期間は高校生以下も無料に)
この世界観はちびっこには刺激的だったらしく「怖いー!」と泣きだす子もちらほら。洞内にその鳴き声が響き渡るのも現代アート的な鑑賞なんだろう。
そしてアート的な装飾はいちばん奥の竜宮橋に。
おもわず「ヒィィ」と裏声が出てしまうような、彼岸花の咲く赤く照らされた地底湖。
この感情の裏には、昨日たっぷりと「八つ墓村」ロケ地巡りをしてきた影響がかなり強いはず笑
「此岸と彼岸の境目、黄泉めぐりにつながる一連の体験」とのこと。ある程度の年齢の日本人ならこの光景に(映画ドラマで)に覚えがあるに違いない。
蜷川さんのInstagramには音入りの映像がみられます。
鑑賞を終え、駐車場までの遊歩道にはリアルな彼岸花が咲いていたのが印象的でした。
井倉洞
満奇洞から車で30分の井倉洞(いくらどう)へ。
こちらも岡山県指定天然記念物であり、「森の芸術祭 晴れの国・岡山」の会場の一つでした。
入場料は同じく、大人/1000円。芸術祭中も通常も変わらないお値段です。
アンリ・サラ
満奇洞に比べガラガラだったのでホッとしたのも束の間、なんと時間予約制とのこと!予約の存在すら知りませんでした。
飛び込みで参加するには1時間以上は待ってもらうかもしれないと言われ、悩んだ末に待って参加することにしました。周辺には井倉洞レベルで観光できる場所もないので・・。
呼び出しの発信機(フードコートで注文呼び出しに使われるやつ)を渡され、電波が届かなくなるから遠くへ行かないように注意され待機します。
まわりを見渡すと同じような境遇の人がそこそこいらっしゃいました。
仕方なくすぐそばの食堂でランチを食べつつ待っていたら、45分ほどで呼び出しがありました。意外に早くて良かった。
井倉洞のインスタレーションは、アルバニア生まれのアンリ・サラの作品。
サウンドや空間、映像を使ったアーティストです。下調べしもしてないので、洞内を使ってどんな作品になっているのかさっぱりわかりません。
装備
まず洞内は狭いので荷物は全てコインロッカーへと指示されます。(カメラ等持ち込みは自己責任)
その後ヘルメット(+不織布キャップ)を渡され装着。
そしてJBLのスピーカーがセットされたリュックを背負います。リュックは軽くスピーカーを背中に固定するためだけのツールっぽい。リュックにぶら下がっているのは予備の懐中電灯。
右手にメインの懐中電灯を持ちます。
このまま洞内に入れば懐中電灯の光とスピーカーの音が自動で動き始めるので、特に操作は必要ないとのこと。
予約時間制だった理由は、前後のグループが視界に入らないように距離を空けて出発するためみたいです。これはこれで贅沢な体験かも。
井倉洞はなかなかハードな鍾乳洞で全長約1.2km、約90m上までひたすら上がります。
洞内のてっぺんであるこの写真右上の小さな滝の部分あたりまで歩くのだそう。
洞内のあかりは最小限、自分たちの懐中電灯が頼りだけど光もゆらぐので真っ暗なときも。
自分たちの装備といい、このような不思議な場所を懐中電灯頼みで歩くのはまさに探検隊! JBLのスピーカーからのBGMはまさに映画の効果音のようで、ここはインディ・ジョーンズやロード オブ ザ リングの世界か!?
洞内は足元も常にしとしと。滑らないように注意して歩くのも地味に体力を奪います。
石灰岩が水に溶け出されカルシウムが固まる・・水による長い時間をかけた天然アート。
ただピンポイントの明かりのせいで、地軸の滝という50mの流れる滝の名所では、全体を見ることができず・・。昔ここに来たことのある主人は鍾乳洞の面白さがこれでは全然わからないとブツブツ。
ところどころコインが投げいられてたり。
普段は名前のついている奇石などが見どころだけど、おそらく今回だけはそういったところではない場所こそがアートに没入できるスポットでした。
歩きながら、先人の探検家がどんな気持ちで未開の地を開拓したのか・・いっときでもそのような雰囲気が味わえたような気がします。
洞内の頂上「音の滝」。この泉の先には、外で見たあの滝につながるところ。
唯一ここで映像と音でのアートがプロジェクションマッピングで展開されていました。
45分ほどで戻ってまいりました。
「森の芸術祭 晴れの国・岡山」のオフィシャルグッズが井倉洞のお土産物屋で販売されていました。岡山県内の会場どこにでも販売されているわけではないので貴重な機会だったので記念に購入。
マグネット330円。アートイベントの割にグッズはちょっと残念だったなあ。