吹屋ふるさと村
駐車場にレンタカーを停めたら、無料の周遊カーを発見。これに乗って吹屋巡りをしたいと思います。セミオープンの電気自動車で、ゴルフ場のカートみたいな乗り心地です。
旧 吹屋小学校
明治時代に建てられた木造校舎は、2012年の閉校まで現役最古の小学校校舎として知られていました。幻(2003年に岡山県の重要文化財に指定されるほど)
閉校後に保存修理工事され2022年に吹屋の拠点施設としてオープンしたばかりのようです。(修復にはかなりの金額がかかったというハナシでした)
明治時代の吹屋はベンガラの商いでかなり羽振りがよかった時代。竣工された頃もかなりの繁栄のはず。
最大で369人(大正7年)の生徒が在学していたようです。失礼ながら今の吹屋の街並みからは信じられない!
修復したてなので、クラシカルな雰囲気がありつつもかなりキレイな教室です。
黒板にどこよりもわかりやすい吹屋マップが。
今まで見てきた歴史ある集落では一番小規模だったけど一番レア度が濃かったかもしれない。
森の芸術祭 晴れの国・岡山
現在は吹屋の拠点施設となっているので観光資源としてはもちろんですが、イベントなんかも時折開催されています。
訪れた時はちょうど岡山県で開催されていた大規模な国際芸術祭森の芸術祭 晴れの国・岡山が開催中で、ここ旧吹屋小学校もPICK UP PROGRAM(相互広報)として関連会場の一つでありました。
森の芸術祭 晴れの国・岡山
岡山県北部を舞台にした国際芸術祭です。12市町村の豊かな自然や歴史的建造物を背景に、現代アート作品が展示され、自然と芸術が融合した芸術祭。開催は2024年9月28日〜11月24日まで
とある教室では、タケモリチエコさん(造形作家)の作品で不思議な世界が展開されていました。
一番広い講堂にも、光延由香利さん(洋画家)の作品が。
赤い町並み
ベンガラ塗装は古くから日本の伝統的な家屋や寺社建築などで用いられてきました。耐久性が増し、紫外線や雨風に強く長期間美しい状態をキープできるとか。
町の建物は実際にベンガラで塗られていて実に華やか。
こちらは本物の郵便局。外の郵便ポストは、このレトロな町並みに合わせ明治時代の創業時のものを復元しているとか。
吹屋の宿泊事情ですが、最近「ラフォーレ吹屋」というホテルがが閉館してしまったみたいです。現在1件ゲストハウスと1棟の部屋貸しのみ。
観光客のいない朝焼け&夕焼けの吹屋もいいかも。
鉱物由来のベンガラは洗濯による色落ちも少なく、紫外線にめちゃくちゃ強く色も褪せないらしい。だから外の暖簾とか衣類などにはとても良いとのこと。
ただ・・お値段がとても高い!ベンガレッドに濃く染めたシャツなんかは軽く2万円近くしてしまうくらい。それだけベンガラは作るのが大変なのです。
でも、こんな淡いピンクの染め物だったら結構お手頃価格でした。
お店の方は紫外線に強いベンガラ染めだから、首に巻くストールやタオルをオススメしてくれたけど、手ぬぐいコレクターとしては手染めでムラの出方が1点1点異なるこの手ぬぐいに一目惚れ。
ベンガラを淡く染めたニュアンスピンクもなかなか。
旧片山家住宅(重要文化財)
江戸時代から続くベンガラ製造業者の本家邸宅が旧片山家。
屋号は胡屋(えびすや)。これは明治時代の胡屋の宣伝ポスターで、今では考えられない沿道の賑わいです。建物は昔から全然変わっておらず、ほぼこのままの状態で保存されていました。
1階は商いの場ですが、2階は家主のプライベート空間だそうです。
ふすまから唐突に階段が。
階段は4箇所あるらしいのですが、この急な階段のみ公開されていました。
初代から続いたベンガラ屋は9代目で廃業(1971年)することになったそうです。
居間と当主の寝室。
一番偉い当主の寝室が、まるで収納小屋かと思うくらい中腰にならないと立てないくらい天井が低く不思議なつくりです。面積的には広いのですが・・
これには理由があって、これほど狭いと刀を振ることができず暗殺防止のためだったのだとか。結構生々しい理由でした。
この空間にもアート作品が展示されて、生々しさを和ませてくれそうな雰囲気でほっこり。
郷土館
主人公 土方歳三の恋人「お雪の家」のロケ地です。足繁く通う設定で登場も多くかつ素敵なシーンばかり。
燃えよ剣
作中でも登場するお雪の残酷絵が1点残されていました。この部屋も初っ端から登場してて懐かしかったな。
個人的には郷土館の方が間取りの面白さなども含めて見応えがありました。
広兼邸
吹屋ふるさと村から離れた高台にぽつんと立っているお屋敷。石垣をみただけでも大富豪っぷりが伺えます。思ったよりスケールの大きいお屋敷です。
吹屋ふるさと村からは徒歩で行くのは無理なくらい離れているけど、あの電気自動車の循環ルートに入っているから無料で迎えます。
そして広兼邸といえば、横溝正史の八つ墓村ですよ!(昭和52年度と平成8年の2回とも)
八つ墓村
八つ墓村の資産家という設定の田治見家のお屋敷のロケ地です。映画 八つ墓村はこのお屋敷内で繰り広げられていたサスペンス、そう思うと鑑賞もどこかホラー的な感じでビクビクしがち。
しかも横溝正史が作品の執筆に際しインスピレーションを得ていたのも岡山県なので、リアリティが半端ないのです。
お金持ちは高台が好き。
実際に銅山とベンガラの原材料のローハの製造で巨大な富を築いていた庄屋さん。吹屋のお屋敷とはスケールがまるで違う。
お屋敷には上がれず外からの鑑賞のみでした。
八つ墓村では土蔵が鍾乳洞につながる重要な隠し扉があるのですが、広兼邸ももしかしたら?と思うくらい俗世離れな立地と雰囲気でした。
笹畝坑道
かつて吹屋の産業を支えた銅山跡。
村の主な観光施設をまわる周遊券(1000円)に含まれていたので寄ってみました。
坑道へはヘルメットを着用して入場します。
通路は昔のトロッコ道、昔の手彫り時代を模したマネキンがひっそり点在していて、たまにビクつかせてくれます。
ところどころに鉱物のあとが漏れ出していました。
明治以降は三菱金属(株)の所有となり日本三大鉱山の一角を担い1972年に閉山したそうです。