「海洋堂フィギュアミュージアム黒壁」の鑑賞していたら、思いがけずベネチアの旅を思い出しました。きっかけは後述します。
イタリアのベネチアで訪れた運河に浮かぶ現代アートの美術館、プンタ・デラ・ドガーナ。安藤忠雄設計の建築でもあり、世界の現代アートが大集合する素晴らしい美術館です。
この時は一人旅だったので自分のペースで思う存分鑑賞しました。世界有数の現代アートを前に感じたインパクトや感情は今でもはっきり思い出せます。

ちなみに私が訪れたのはオープンからまもない頃。
このカエルを掴んだ美術館を象徴する作品像は、屋外の岸の先端に展示されていました。屋外はチケットを持っていなくても散策できるので美術館に行かなくとも誰もが鑑賞できる状態です。(ただし美術館に行くには船の使用がマスト)しかしどうやら今では風情を台無しにするアクリルの箱で覆われているという噂です。
美少女フィギュア = 突如日本のアートに
接点のない二つのミュージアムの思い出が結びついたきっかけは、海洋堂のスター造形師ごとに作品をまとめたコーナーでした。
そこに思いがけず展示してあったスター造形師の一人、BOME(ボーメ)さんのコーナー。

私がBOMEさんのお名前を知ったのは、海洋堂やフィギュア界ではなくアート界がきっかけでした。公式プロフィールにもアート関連の記述があります。

作品はこのようにアニメ系のかわいいお顔に手足が長く誇張されたナイスバディ、しなやかになびく盛り髪が特徴です。いろんなアニメマンガ作品のキャラクターも手がけていらして色々展示されていました。

プロフィールにある村上隆さんとのコラボ作品というのは、オタク文化のエッセンスを世界的なアートに昇華させたフィギュア作品のシリーズです。
その存在は強烈なインパクトで、その世界に詳しくない私にも賛否の感情や感想が渦巻く作品でした。
ベネチアで見た村上隆作品のインパクト
そのコラボアート作品を実際に目にしたのが、ベネチアにあるこのプンタ・デラ・ドガーナでした。

ミュージアムショップで購入した厚さ4センチ弱の公式カタログ(66€)にも収録されています。スーツケースが重くなってベネチアの石畳を歩くのが大変だったのが思い出。

「My Lonesome Cowboy」 全貌は決して載せられない、というかはばかれてしまう、普通だったらR指定・・・。
でもここの美術館では他の作品と同じようにいたって普通に展示されています。このアート作品はサザビーのオークションで16億円で落札されたそうです。

隣には「Hiropon」。こちらもちょっとまあ普通にR指定ですかね・・。
この作品の造形はBOMEさんがされました。当初に知った時はなぜ作家名がBOMEでなく村上隆なのか?とも思いましたが、村上隆さんがいなかったらアートとして造れなかった作品だとも思うかな。
とてつもないインパクトの芸術作品&それをぐるりと囲んで動じずじっくり鑑賞する人々。作品というより、このシュールなシュチュエーションが現代アートなのか・・・。と思ったのを思い出しました。

あのとき見た作品のディティールや技術のクセは、やっぱりそっくりだと思いました。やっぱBOMEさんの作品は日本にあるのが一番似合うよ。
Stylized Sculpture 杉本博司
ちなみに、この美術館で一番ファンになったのは、こちらも日本が誇るアーティスト「杉本博司」さん。
ファッション界のトップメゾン、中でも特に有名なアーカイブ作品(オートクチュール)をマネキンに着せて撮った写真のシリーズ「Stylized Sculpture」
シャネル、サンローラン、イッセイミヤケ、コム デ ギャルソンなど、ファッション系の展覧会で実際にお見かけした作品が、光と影のみで新たな魅力を発するのに引き込まれてしまいました。
もし、財力があるなら・・・欲しい!
