JR根府川駅に到着して向かう先は、江之浦測候所。ここで予約した送迎バスを待ちます。しばらくすると、駅には目的が一緒の同志たちが現れ始めました。
江之浦測候所とは
正式名称は小田原文化財団江之浦測候所といいます。
日本の現代アートのスター・杉本博司氏が設立した文化財団の文化・美術のための一万坪の広大な施設です。一言で説明すると「自身の作品や収集したコレクションを集めた杉本博司の宝箱みたいな施設」です。
ちなみに杉本博司氏の最近の有名な仕事は、今年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」のタイトルでしょうか。館内にも展示されていました。
基本は午前と午後の二部制、敷地面積の割には絞った人数制限があります。
入館すると、自身で散策・鑑賞する以外のコンテンツはありません。最低2日前の完全予約制で入館料は3,300円。ふらっと気ままに訪れる事は難しく、目的意志がある人のみが集います。
思っていたのと違う客層
送迎バスがやってきて、リストと取らし合わされ乗車します。そうしたらてっきり(ヒルトン小田原のスパにでもいくんだろうなあ・・)と思っていたインスタ女子風(ファッションがキラめ)たちがこちらのバスに乗り込むのでびっくり。
てっきりここに来るのは建築オタクか杉本博司オタクだけと思い込んでいて、自分が思ってもいなかったニーズがあるらしい・・!とこの時に知りました。
彼女達がどんな目的で3300円も払ってやってきたのか興味津々です!
バスで到着し、しばし開演を待ちます。この日の午後の部はおそらく3〜40人程度、うち半分弱がキラめの若いコたちでした。
入場のために整列したときに彼女らの会話が聞こえたのですが、やはりインスタのために来たみたいでした。「中はどんな感じ?」と聞いた子に「えっと彫刻の森美術館みたいな感じ」と答えていたのが衝撃的でした。
しかし私も初めて行く場所なのもあり(違うとは思うけど・・・実はそうなのか?!)と心がざわつきましたが、(そういう見方もあるのか!)と目からウロコも落ちました。
とにかく彼女達を惹きつけるものは何かという視点でも期待がふくらみます。
映えるロケーション
簡単に説明を受けて中に入ったらあとは自由となります。
ルールはこの止め石の先は立ち入り禁止ということくらい。結構厳格にスタッフが目を光らせています。大事なコレクションをイタズラから守ったり、柵などがない所もあるので安全のためというのもありそうです。
広大な敷地に人数制限があるため、自由散策となるとこの場所にひとりきりと錯覚するようなときがたくさんありました。
映えスポット①
一番人気のガラスの舞台。光学硝子の実際に使用できる強度の舞台です。残念ながら立ち入りは禁止。私は高所恐怖症ぎみなので、どうぞと言われてもパスです。
海のさざなみのような自然にすでに存在していたかのようなガラスの床。
全景はコロッセオ風の観客席のある舞台です。実際に特別なイベントでは舞台として使用するそうです。左は鋼鉄のトンネル通路の屋上、実際に小さな止め石のところまで進めます。怖くて無理だったけど・・。
トンネルの中は太陽や月を利用する暦の役割のある構造です。世界のどこかで見たことのある古代の遺跡に紛れ込んだようです。江之浦「測候所」らしい神秘的な空間です。
映えスポット②
施設の導入口となる100メートルのギャラリー。
こちらも夏至の太陽が一番美しく見える設計。奥のスケルトンのベランダに立つみなさんは映えていましたよ。光と影のコントラストが時間帯で変わります。
同行者のいない私の写真のモデルはカラス笑
映えスポット③
日本古来からの伝統工法の保守保存するという使命もあり、和の建築物もたくさん点在しています。
かつて根津美術館にあった明月門を移築したそうです。表からも裏からも、影もステキ。
周りの自然と調和していて、もしかしたら、かつてあった地よりこちらに移築されたほうが生き生きしているのでは?と思いました。
カメラマンの鈴木心さんがここからのアングルで撮影した写真があったので真似っこしてみたけど、樹木が立派に生い茂って隠れてしまった。全然ダメな写真だ〜。
思えば、冬に行った香川県のアートの島・直島にもインスタ女子はたくさんいたのですが、比率でいったらここはかなりの人気スポットのようでした。
先のインスタ女子も、江之浦測候所を気に入ってくれたら嬉しいなあ。