歴史語る古さと現代的快適さがMIXされた、修善寺「湯回廊 菊屋」夏目漱石の部屋に泊まる[宿泊記]

伊豆の修善寺温泉にある「菊屋」に宿泊してきました。

個人的に伊豆地方の温泉の泉質はさらっとしていてクセがなく湯上がりがスッキリするイメージがあります。冬より夏にはいる方が好きかも。

修善寺の2大老舗旅館「菊屋」

修善寺には歴史ある老舗旅館が二つあります。この菊屋新井旅館です。昔から両者とも似たような歴史と価格帯なので比べられる事が多かったように思います。

修善寺には泊まってみたいランキング上位の旅館もありますが、古くから営業しているこの二つの旅館はやはり一目置かれる存在です。

このブログを始める前に、修善寺の歴史のある旅館に泊まってみたくて当時は新井旅館のほうを選んで宿泊した事があります。こちらも建物が国の登録文化財であり、佇まいもサービスもクラシックスタイルでとても素敵な旅館でした。

特に大浴場は、唯一無二の雰囲気を持つ珍しい登録文化財の浴場でした。

その時、菊屋を選ばなかったのは自分の中での印象が良くなかったからでした。修善寺は昔から個人的に馴染みのある温泉地だったので菊屋の存在はずいぶん前から知っていました。ただ子供心ながら菊屋は古くて迷走した旅館だな。と感じあまりいい印象がありませんでした。(かつては館内にプールがあってご近所の方も気軽にきていたような記憶があり・・)

それが旅館が売却され共立メンテナンスによりリブランドされ、予約もなかなか取りづらい旅館に生まれ変わってると評判を聞き行ってみることにしました。

共立メンテナンスの老舗リブランド旅館は、香川県こんぴらさんの敷島館で体験済みです。

老舗ならではの好立地

さすが創業400年と思ったのは、修善寺温泉の象徴である修善寺側(=桂川)の両岸をまたぐ立地であることです。

旅館の玄関を入ると、すぐに渡り廊下があります。川を渡らないと行けないプライベート的なお篭り旅館感がありました。

自然の中のロケーション

そして旅館を通る川は、この旅館のためだけに流れているのでは?と錯覚するほど。とっても風情があります。敷地内の川では造成も自然のままを活かしているようでした。

渡り廊下からの景色。吊り橋は今年新しくできた別邸の水の語り部の宿泊者のためのもの。新築の建物なので清潔感のある部屋が好きな方にはおすすめです。

老舗旅館の昔ながらの趣を残すのは一部のパブリックスペースと、本館和室の花の語り部にある数客室のみ。ほとんどは新築の部屋ばかりのようでした。少し残念な気がしますが木造なので仕方ないのかなとも思います。

菊屋が長年守り続けた客室

菊屋は「創業400年」の他に「夏目漱石が宿泊した宿」としても有名です。

持病の静養のため2ヶ月ほど滞在したそうです。(2部屋利用したそうですが、1部屋は修善寺の虹の郷というパークに移築し、残り一部屋はいまだに客室として存在しています)

その事実は「文豪が愛した宿」というキャッチフレーズでセールスされており、菊屋が菊屋であるために何があっても長年ずっと守ってきたのが漱石の客室だと想像できます。

この本館木造棟は、古い木造建築を残したままなので館内でもエレベーターがなかったり不便なこともありますが、伝統を感じる一角です。

今回はその漱石が泊まった部屋、花の語り部「梅」へ泊まります!

夏目漱石が泊まった「梅」漱石の間

客室「梅」の玄関先には、漱石の泊まった部屋である立て看板がありました。宿泊者がいない時は中を見学することができるそうです。

部屋を現存させているとは言っても、玄関などはかつての廊下と思えるスペースを利用して使いやすく拡張しています。

基本は居室8畳+寝室8畳。居心地の良い和室ですが、窓などの建具や欄間、床の間などに深い歴史を感じます。古いものを楽しめる方にはとってもオススメです。

広い!二人だと贅沢すぎるくらいです。布団は和ベッドの仕様であらかじめセットされています。歴史ある建物特有のひんやり感も。たぶん和室特有の照明が落ち着いているせいかと思います。

両側に廊下があります。居間などはさすがに現代の家電や小道具が設置されていますが、廊下の眺めは昔そのままのようでタイムトリップできそうな雰囲気があります。

ただし、窓の外の眺めは、増改築を繰り返し迷路のように建物が立っています。建物自体は古いため見た目はあまりよくありません。景色だけは期待してはいけません。

部屋周りには今時のバスルームとトイレがあり、水回りのストレスはありません。そもそもバスルームは大浴場や貸切風呂を堪能したのでほぼ使っていません。廊下の段差を上った右には冷蔵庫もありました。

とにかくちょっとしたマンションくらいの広さがあり贅沢です。

かつての部屋の様子をまとめた古いスクラップも館内に展示されていました。

見比べると割と昔のままだなあ。

歴代オーナー様が、菊屋が菊屋であるために夏目漱石滞在というこの部屋を死守してきたこと、リブランドの際にはこの部屋を核に旅館全体をデザインされたんだろうな思うと、滞在も感慨深いものがありました。

菊屋での滞在記

食事やパブリックスペースはこちらでも紹介しています。