文化芸術の「It’s a small world」時空も座標も超えてる、大塚国際美術館[徳島]

直島から始まった旅、最終日は、原寸名画が複製された巨大美術館「大塚国際美術館」に立ち寄ります。

メインどころのふたつの礼拝堂

入場してすぐ、長い長いエスカレーター。上がり切ると見えるのが・・

美術館で一番有名な「システィーナ礼拝堂(ヴァチカン)」。やはりスケールに圧巻!

実物は見たことはないので比べようはないですが、極限まで近づけて、隅々まで照らす完璧なライティングで、清潔感のある環境は、鑑賞・考察するのにぴったり。

その反面、現地特有の雰囲気や宗教的空気感、歴史の重みはなく。でも鑑賞のひとつの形として十分アリです!

「スクロヴェーニ礼拝堂(イタリア)」。

結婚式として営業もしているのか!

そう知って一番奥の祭壇をよーく見ると、普通に現代の演劇ホールのような舞台袖で。汎用性のあるチャラさを垣間見ました。でも行くのが難しいものをこうやって原寸大で感じられるこの技術ってスゴイな。日本って。

陶板の強みは、劣化しないこと

陶板複製だから、屋外展示も雨風・紫外線などによる劣化がなくOKなのが強み。

モネの睡蓮なんかは池の中央に立つ感じに設置されてよかったのだけど、高速道路で走る車が見える場所なので風情半減でちょっと残念。何より、2日前に見た直島の地中美術館で最高のシュチュエーションでのモネの睡蓮(本物)を見てしまったので・・。

こちらはトルコのカッパドキアにある「聖テオドール聖堂の壁画」の復元。

以前ひとり旅でカッパドキアには行ったことがあります。そこでは岩山をくりぬいた洞窟ホテルに泊まったり、数日滞在していました。

名物の気球に乗ったり。

ホテルのおやじに手配してもらったツアー(グリーンツアー&レッドツアー)に参加したり、そこそこ遺跡を堪能しました。どちらのツアーにも「聖テオドール聖堂」は含まれていなかったので実物は見ていません。

で、感じたのは遺跡の壁画でコンディションの良く残っているのは、薄暗く光の差し込まないところ&人の手が触れないようなところ。どちらかというと鬱蒼としたところに残っている印象があります。ガイドがペンライトで照らしてようやく見える、みたいな。

それが原寸レプリカで自然光でクリアに見えるのは貴重。かすれや朽ちた質感もリアル〜。清潔感あるし笑 カッパドキアちょっと雑なとこあるから。

複製ならでは。ばらばらのものがここに大集合

ここにはめちゃくちゃ人がいました。

さすが、ネームバリュー抜群のゴッホのひまわり!7種類のひまわり画を見比べできます。それぞれの世界中に散らばっているのにここに集合。今はないはずのひまわり画もなぜか集合!

ムンクの叫びも、ノルウェーに行かなきゃ見れないのに。

1,000点を超える美術品の複製画

正直この1,000点という点数の多さに実感がわきませんでした。結論から言うと、完璧になめていました。

名画の複製というと、ルネサンス期あたりの宗教画〜現代までをなんとなく想像していたのですが、実は古代文明から始まります。

そしてこの美術館の導線は時代を追って鑑賞するので、うっかり最初の古代エリアでゆっくり鑑賞してしまうと、最後の現代アートまで辿り着けなくなるので要注意。

途中でこれに気づいてから、泣く泣く通過したエリアが多々。

そして案の定、あれだけ賑わっていた古代〜ルネサンスに比べ、最後の現代アートフロアのスカスカさ笑 実際のところフロア貸し切り状態(私ひとり)の時間がありました。

陶板複製の限界を感じた唯一の作品

どれも本物のような複製力と質感に脱帽しながら見ていましたが、ひとつだけ本物に追いつけてないと思う作品がありました。

ジャクソン・ポロックのアクションペインティング「秋のリズム:No30」。

この作品は、絵の具を筆でピャッ!ピャッ!と勢いよく振り(こぼして)描いたものです。遠目からみるとすばらしい再現に見えるのですが・・

じっくり近づいてみると、絵の具をこぼした勢いのある盛り上がりは、やはり再現が難しいか。アップでは筆で緻密に塗った様子がみえます。本来の表現方法の再現は難しいようでした。

複製も簡単にさせない、恐るべし現代アート。

次に行くことができるなら・・

この美術館は年代に沿って、世界中のさまざまな作品を時代に合わせて展示しているところ。

額縁に収まった作品ならいつかどこかで企画展があれば見れるかもしれない。でも中には絶対に移動ができない建物と一体化している作品、大型の宗教施設の壁画などもあるのがやっぱスゴイ。

ラファエロのバチカン宮殿にあるこの壁画も、同年代の他国の壁画と見比べできたりします。本物なら到底無理な展示方法。(普通の壁に貼り付けてあってギャップに笑うのですが)

ほかにもルネサンス時代の絵画ライナップは豊富だったので、このあたりの美術史や画家による聖書の解釈違いの比較とか、そういう鑑賞の仕方ができそう。次回行けるのであればそんなところをじっくり見てみたいなと思いました。

滞在数時間は、海外にいる錯覚をおこしまくっていました。ここで気に入った作品の「本物を見に行く旅」なんかもしたいなあ。・・数年は無理だけど。