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クリスチャン ディオール 夢のクチュリエ展
ふらっと鑑賞することが難しい日本の夢のクチュリエ展、日時指定券を予約し東京都現代美術館へ行ってまいりました。
そして私は2017年にフランスパリで開催された本家本元・夢のクチュリエ展も現地で鑑賞済みです。当時もかなりのインパクトを心に残した展示会だったので日本展も心待ちしていました。また日本に来るまで5年も経ってしまった巡回展の変化も楽しみです。
入場料 パリ展:11€ / 東京展:2000円(オンラインチケット)
パリ展と東京展の変化
Christian Dior 70周年企画展が、日本に来る頃には75周年企画展になったわけです。ファッション界での5年って流行遅れを感じてしまいそうで、個人的にはそこがどうなっているんだろうと気になっていました。
パリではディオール70年の歴史ストックを圧倒的な物量(1日じゃ足りない程)でモダンに展示。
対して東京展は、パリ展から美しい上澄だけをセレクトし、それをさらにアーティストが色を加えた東京展独自の展示でした。何よりも多少窮屈さのあったパリ展より、空間の余白がドレスの上質さを更に引き立てていて、ラグジュアリーさが増していました。
アーティストとのコラボも元アートディーラーだったムッシュ・ディオールらしいのかもしれない。
NEW LOOK「BAR SUIT」
パリ・東京とも「夢のクチュリエ展」の最初のフロアにあるのが、1947年のバースーツ。両展示会の最初に出会う展示会のアイコンです。
パリ装飾芸術美術館では、欧州らしい吹き抜けの天井高。(さすが元宮殿のルーブル宮)
プロジェクションマッピングでのイメージは、まさにディオールブティックに入店する前の広場のようなセットでした。
ディスプレイというよりも「そこにバースーツを着た女性がいる」というシーンのよう。
東京は一転モノトーンの、シンボリックな世界に。空間は狭かったけど、スーツとの距離が近くてこちらのほうが断然近くで鑑賞できました。
DIORと日本
パリではAROUND THE WORLDという企画の中で、アジアの一角にあったJAPONルーツのドレス。明確な区分けはされていなくてアジア各国のグラデーションのなかにふわっとありました。
膨大なコレクションを余すところなく展示していたパリでは、好きなコレクションを見つけ出す宝探しのようでした。
ガリアーノ様(思い入れがあって一番好き)の2007年浮世絵シリーズを見つけ出した時は、立ち止まってガン見。ただ奥のほうの配置だったのが残念でした。
それが一転、JAPONの一番のアイコン。まるで歌舞伎の舞台から競降りてくるような神々しさ!ただ遠すぎて今回もディティールが見えなかったのが残念。
同じくマリア グラツィア キウリの桜ドレスシリーズも。日本ゆかりのドレスが、日本ならではのディスプレイで大事に展示されていたのが日本人としてとても嬉しい。
シーチングトワルの世界
実は、東京展で唯一残念だったのがシーチングトワルのコーナー。
パリ展のシーチングが並ぶホワイトの世界はひとつのアートとしても圧巻だったし、
なにより一体一体に全てにヒリヒリするような修羅場をくぐった現場感と、完璧に近づくためのトライ&エラーの痕跡(鉛筆の線だったり縫い直しの跡など)がドラマを感じさせて個人的にとてもアツかった・・。
さすがに世界巡回展では、現場感バリバリのシーチングトワルは持ち出せなかったようで・・・綺麗すぎる(おそらく)展示用に作られたものも混じるトワルの空間になっていました。統一感のある空間は美しい世界だったけど・・・。
世界観は美しかったけど、パリでは全部が「いつもは見れない裏側感」だったのがワクワクしたので、やっぱりアレが恋しい・・。
THE DIOR BALL
一番広いボールルームでのロングドレスの展示。
パリではプロジェクションマッピングでさながら舞踏会のようなパーティ会場。圧巻の空間で、会場のお城の雰囲気など、この規模の華やかさは東京では絶対難しいだろうと思っていました。
東京ではドレスを間近で見ることはできなかったけど、いろんなドレスが一つの空間に存在する面白さが「ボールルーム」という現代的な解釈かもしれないとも思った。
COLORAMA
カラーごとに洋服から香水系まで、広告や店舗備品まで様々なアイテムを色ごとに集めたコラージュのようなコーナー。
パリでは「長い歴史のなかで制作した様々なもの」を展示する意図があったのか、蚤の市やビンテージショップのウィンドウディスプレイを眺めているような・・・懐古的な展示でした。
古いアクセサリーや帽子、経年変色が見られる香水のディスプレイ台など、よくぞ保存してあった!と感心するアンティークたち。展示品たちはその時代のストーリーが浮かぶようです。
パリではとにかく膨大な量を集め、色ごとに仕分けた歴史も感じる博物館のようなコーナーでした。
東京では、1/10ほどの作品数(個人的な体感)くらいになってしまったけど、面白い小物アクセサリーが見れるエッセンスはしっかりと海を渡ってきたな。という感じです。でも綺麗すぎるウィンドウディスプレイは、パリのように歴史をたどるというよりカワイイ宝物探しっぽい。
GARDEN
切り絵のグリーンがディスプレイされたガーデンは、パリも東京も雰囲気がとっても似ていたコーナーでした。パリは圧倒的なドレスの数だったけど、やはり東京はかなり少なめに・・・。
パリで見かけた、マリアデザインの点描風ドレスにまた出会えました。
東京は床がガラス張りで、天地の感覚が広がってふわふわした空中散歩の雰囲気。
そのおかげで、ドレスの中の構造も覗けてしまいました。ふふふ
我が青春のガリアーノ
最後に。一番ファッションに夢中だった時代に「この人、天才では?!」と衝撃を受けたデザイナー、ジョン・ガリアーノ。
めちゃくちゃ思い入れがあり、日本人好みの作品がセレクトされていて、やっぱり感動・・。
圧倒的な華がある作品で、自分には着こなす自信すらないドレスは白馬のような荒馬のような孤高の美しさ。見てるだけで青春がキュンと蘇るのでした。
ああ眼福!私にはやっぱり特別なガリアーノ。