何にもない林道をずっと走り、道の終わりにたったひとつあるのがランプの宿 渡合温泉旅館です。
宿泊してみて感じたのは「自然豊かな山小屋の楽しいとこだけ体験でき、気楽で心地良い滞在はしっかりサービスされる」そんなイメージでした。
玄関先は旅館というより明るくてランプの賑やかなまさに山小屋といった雰囲気です。趣味人の山荘にお邪魔した気分になります。
情報がこない宿
電気は通ってないので自家発電、宿への連絡手段は衛星電話のみ。もちろんファックスも携帯電話もテレビもインターネット環境もありません。
今の時代「明日の天気はどんなだろう?」とスマホで簡単に調べられるけど、宿の人に聞いても「どうだろうねえ、調べられないから」とわからないまま。
山でずっと過ごす人だから、もしかしたらわかっていたのかもしれないけど、そんな不便もちょっと楽しんで。とはぐらかされたのかもしれません。
そして、ここの宿泊予約ができるのは現時点では公式ホームページのみ。
どうやって予約の確認しているんだろう笑(それほど遠くないとこにご家族が住んでいるみたいです)
コンセントのない部屋
建物は斜面を利用してつくられていて、客室は階段を降りた宿泊棟にあります。
小さな和室ですが入った瞬間窓の景色に圧倒されました。窓の外はすぐ斜面で、一面の山の緑が迫る珍しい景色です。部屋からの景色のために庭などつくらず自然のままの景色なので他の部屋の景色も個性的なんだろうなあ。
あと、最近張り替えたのか壁は一面のヒノキ材。いい香りが部屋中に漂います♡ イメージは山荘ロッジの和室ってかんじ。
でもって、照明は自家発電中の裸電球。こちら夜10時以降は強制消灯となります。
そして、部屋には一切の電化製品はおろか、コンセントも存在しません。あっても自家発電なので電圧とか怖いし、精密機器の利用はバッテリーで凌ぐしかないですね。ただもう使う気には全くなれないのは、もう宿の雰囲気に染っているせいかも〜。
宿泊所としてのアメニティと、浴衣と羽織。宿泊したのは9月でしたが夜は肌寒く感じることもありました。持参したソックスが重宝しました。
もっと寒くなると、豆炭を使った昔ながらのコタツ=豆炭コタツで部屋では暖をとれるみたいです。ちなみに渡合温泉旅館は、冬季は長期休業に入ります。雪深くなると林道が封鎖されるからです。
お手洗いなどは共同になります。
びっくりしたのはトイレが綺麗だったこと。山小屋のお手洗い的なもの・・・を想像していたのですが新しく清潔な水洗洋式トイレで、うちの棟には男女別で4室ありました。ありがたいです。
不便なところ
お部屋周りで少しだけ気になったのは、部屋に鍵がない事と隣の部屋との壁が薄いことかな。夜にはお隣さんのイビキを聴きながら主人と苦笑して就寝。
あと、山ならではの宿命として虫との共存は免れません。客室は割と密閉された空間ですが、館内の暖かさに寄ってくるためなかなか防ぎ切れません。
棟をつなぐ階段なども、写真の右下をご覧の通りスキマ・出入り口はどうしてもあります。
部屋のなかには虫をキャッチするためのガムテープが完備されています。でも一回だけしか使わなかったけど。
ここの宿がアリかナシか?と感じるのはこんなとこかもしれません。でも、山ガール・キャンプ女子なんかはこんなのへっちゃらじゃないでしょうか。
お楽しみの温泉へ
温泉はロビー棟にあります。大中の二つの浴場があり時間で男女入れ替えです。
入り口前にスリッパがあるかどうかで中の人数がわかります。ちょっと混んでいそうな時は入り口前に雑貨店風の売店やレトロゲームの展示があったのでちょっと暇つぶししてました。
(あばれる君が最近ロケにきたみたいです)
館内にあふれる昭和レトログッズが、宿にハマってる。
ゴジラとピグモンと目線がばっちりあってる金魚たち笑 微動だにしません!
源泉は冷たいので、ご主人が薪でたいて温めているそうです。
ヒノキ風呂。貴重なあたたかいお湯のため使用後はヒノキの風呂蓋をしめます。
夜もガラス窓も開けっぱなしなんだけど、虫とか意外に入ってこないのが意外。むしろ脱衣所の方にいたりして。
洗い場のシャワーもちゃんとお湯が出てストレス皆無。シャンプー類も女性も使える感じのものが完備です。
山の湧き水のお風呂と、温泉の二つの浴槽があります。温泉の方がミネラル分特有のお湯が肌に弾く感じがやや強めに感じました。どちらも良かったけどやっぱ温泉の方が好み。
もちろん温泉掛け流し。外は川の流音がBGM&ランプの灯が心落ち着くわ〜。
お風呂上がりに、金魚を再確認したらみたらまだ見つめあっていた。金魚おもしろい!やばい笑笑
お風呂上がりには、玄関先にある冷たい湧き水で冷やしたレトロな手動販売(事後精算)でビールもいただけます。
漫画がたくさん。ランプの灯だけだと読書には目が厳しいからお目当ての漫画は夜10時前までに!
ランプの講習会
日没を迎え、非日常の夜がはじまります。
夜10時には自家発電での照明がオフになるため、その後に備えご主人からランプの講習会が夕食後に開かれます。
木造建築内で火を扱うため、自室にランプを持ち込みたいなら講習会の参加が必須です。しかし堅苦しいものではなく楽しいランプ体験会って感じです。(自由参加で不参加の場合は懐中電灯を貸使えます)
火の付け方やランプにちょうど良い炎の大きさ、触ったら火傷するケースなんかを教えてもらいます。
正しい炎の状態は、意外にもこんな小さいものだったとは。
自分で火起こしして、自分のランプに明かりを灯します。昔ながらの火打ち石で火花を拾います。
これが結構楽しかった。火の粉は案外すぐ飛ぶんですねえ。石綿に飛んだ火をフーフー育てて点火!正しくは石綿で育てた火花をマッチで拾ってランプに点火。石綿から炎に育てるのは大変です。
その後は自由解散です。ロビーは賑やかで、電力やデジタルにたよらない遊び道具を使って子供も大人も楽しんでいたようです。私は部屋に戻って漫画(ブラックジャック)を読むことに。
朝のアトラクション
翌朝、チェックアウトの時間までご主人主催のゲーム大会がのんびり行われていました。
朝食後に射的をチャレンジすることに。
遠くの的に見事命中した私は、宿のご主人からプレゼントをもらいました♡
これは、昨夜教えてもらった火おこしができる簡易キット。金具で火花を起こして石綿で育てます。防災バッグに入れておこう。
岐阜県中津川市加子母渡合 / 中央自動車道・中津川インターから車で約1時間、JR中央本線 中津川駅〜バス「倉屋温泉」下車〜タクシーor徒歩3時間