賑やかな黒川温泉の中、いこい旅館 別棟は静かな大人隠れ宿。客室には源泉掛け流し温泉の内湯付き[宿泊記]

黒川温泉は日帰り温泉天国

楽しみにしていた熊本県有数の大人気温泉地・黒川温泉。豊富な湯量で、各旅館も源泉掛け流しが基本みたいです。

小さな温泉郷だけど外国人観光客やバスツアーの立ち寄り先として人気の場所で、夜までは宿泊客と日帰り客が混在する賑やかさ。場合によっては混雑もありうるのを覚悟しなければならないのが温泉地として好みの分かれるところ

温泉手形発祥の地

ちなみに日帰り客に大人気のここの温泉手形(黒川温泉が発祥のシステム)が誕生したきっかけは露天温泉をなのだそう。

かつて、自然豊かな立地を活かした露天風呂を各旅館が作ることで黒川温泉全体の魅力を盛り上げようと温泉組合が企画。しかし立地的に作れなかった数軒の旅館がでてきてしまい、それを温泉地全体でフォローするためにできた助け合いのシステムなんだとか。

黒川温泉 入湯手形 1500円
黒川温泉の旅館26ヵ所のなかからお好きな 3ヵ所の温泉を選んでご入浴いただけます。(うち1ヶ所は飲食お土産に使うことも可能)8:30 〜 21:00まで。

そのため黒川温泉の露天風呂は個性豊か!

いこい旅館

そんな黒川温泉の日帰り客にもひときわ人気なのが、黒川温泉で唯一の日本の名湯秘湯百選宿に選ばれた温泉がある「いこい旅館」、今日のお宿です。

古民家風のつくりで、立派な梁や古道具は今でも色褪せずノスタルジック。

玄関先では宿泊者以外でも利用できる囲炉裏や足湯があり、おもてなし精神にあふれてます。大胆な障子1枚を隔てた先は実は温泉(男湯)でもあります。

外でも温泉のほのかな安らぐ匂いに包まれてホッとする〜。

軒先で温泉卵がセルフで販売中、後ほど1人1個づつお買い上げ。温泉卵すら源泉掛け流し!

別棟 だんだん

予約した部屋はこの本館から徒歩2分ほど離れたところにある別棟です。

ただ徒歩2分といっても、ずっとゆるい坂道なので・・行きは楽々お散歩できるのですが、帰りの上り坂がおっくうだった時もありました。そのときは声をかえれば車で送ってくれるので、何回か利用させてもらいました。

宿泊客・日帰り客でいつも賑やかな本館と違い、ここは宿泊者だけの場所なので静かで。全3室あり全て大人限定のお部屋。黒川温泉の外れになるので通りには歩く人もあまりいませんでした。

まるで邸宅のような玄関。ひっそりとしていてまさに隠れ家。

中は二間続きの木をふんだんに使った和モダン風なお部屋。建物はまあまあ新しそうで清潔がありました。ただ入った瞬間、ガクッときたのは青白く光る居間の蛍光灯。他はほっとする暖色系の光なのに・・ここだけが実に惜しい。

ベッドルーム。窓の外は、田の原川に合流する小川の風景。ベッド含めて4人まで宿泊可能だそうで2人ではもったいないくらい広いお部屋でした。

玄関入ってすぐのスペースにはレンジや美味しい水道水のあるミニキッチン。木製の大きなボックスは何かな?と思ったらなんと冷蔵庫カバー。

本館の温泉や食事に行くときは、浴衣&羽織を着て出かけます。

いこい旅館の「いこい」は「居恋」なのか。

客室の温泉は24時間掛け流し

別棟ならではの設備が、お風呂が源泉掛け流しの温泉があること。スタッフの方に泉質のことを聞いたら、本館と全く同じ泉質だそう。主人によると、本館の男湯は混んでいてゆっくり湯治する気分でなかった模様。それ以降はずっと部屋の温泉を楽しんでました。

部屋によってお風呂の趣が異なるみたいで、客室「のぞみ」のお風呂は四角い石づくり。

硫黄・硫化水素泉の香りのするお湯で暖まりの良い湯冷めしにくい温泉。場所によっては飲用もできるそうで、実際にいこい旅館の料理にも使われていたりします。

源泉の温度は高温なので浴槽内もそこそこ熱め。窓を大胆に開けても平気な景色だったので、風を感じながらだったら長湯もできてしまう。

ちなみに部屋でも源泉からの温泉が24時間流れっぱなしです。

13の温泉めぐり

楽しみにしていた温泉巡りをするため、いざ本館へ。いこい旅館本館内にある11の趣向の異なる温泉めぐりができます。

なかでも人気なのが、日本名湯秘湯百選の湯に選ばれた滝の湯美人の湯。温泉・景色・趣向が高い評価を受けているのだそうです。11の温泉のうち9つが日替わり客と共有の温泉となります。

男女時間入れ替わり制なので、まずは美人の湯を目指します。ネーミングが期待しちゃうよね。

大浴場の温泉は、ちょっとにごりのある半透明。見た目にも濃厚そうな温泉で、露天はさまざまな工夫がされた楽しい空間でした。

立ち湯があったので飛行機でむくんだ足にぴったり!と入ったところで気がついてしまいました。ここは日帰り客と共有ということを・・。

貴重品問題

客室からは「部屋の鍵とスマホ」だけを持ってきたのですが、日帰り客含め不特定多数が立ち入れる脱衣所があまりにも防犯的に無防備すぎるのです。なぜ過敏になってるかと言えば、先週買い換えたばかりの最新iPhone 15 Pro Maxが湯かごに。もしこれが万が一盗まれでもしたら・・泣く!大泣きや!

そそくさとあがり、あたりを見回すと脱衣所内にコインロッカー発見。だけど肝心のコインはなく・・。別棟の部屋に戻るのも大変すぎる。しばらくおろおろしていたら、宿泊者専用のお風呂があることを思い出しました。

宿泊者だけが持つ鍵で入ってみたら、無料の貴重品ボックスを発見!入り口もオートロックだし、わーよかったー。

宿泊者専用 蘇の湯

安心安全フィルターがかかったのか、なんだか宿泊者専用エリアの温泉のほうが魅力的に見えてきました。露天ではないためか清潔感が高く、そして誰もいない。個人的には「ここのほうがいいじゃない♡」。

そしてここだけメイク落とし〜乳液などコスメの使い切りパックが置いてあったり、各種アメニティも完備してありました。

「美人の湯」などのミニチュア版みたいな感じで、コンパクトに打たせ湯や寝湯がまとまっていてなかなか気持ち良い空間。本館の温泉は部屋の内湯よりも温度が少しぬるくて、ずっと入っていられる感じです。

温泉の泉質は館内どこも一緒です。宿泊者には蘇の湯、イチ押しです。

おもいのほかドキドキしてしまった温泉巡り。温泉効果で顔はゆでだこのようなので収まるまでラウンジで一息。改めて部屋の温泉があるとフレッシュな湯でいつでも自由に入れるって1番いいなあってしみじみ感じました。